こころ彷徨い旅備忘録〜プロローグ〜

 

この旅をまとめた記事を書こうとしているのだけど、なかなか上手くいかない。

せっかく行きたいところリストを作ったのだからそれを先に取り上げて、その他に行った場所や出来事は最後にまとめて載せようとも思ったのだけど、やっぱりそれは止めた。

何といえば良いのか分からないけど、今こうして振り返ってみると、思い出すのはリストの中のそれぞれの項目ではなくて、なだらかに繋がった風景やイマジネーションの連続そのものだったからだ。

行きたいところを予めピックアップしておくのは大事だけど、そこに行くこと自体が旅のズバリそのものの目的ではないんだろうと思う。私の場合。

じゃあ私はなぜ旅に出るんだろう。少ないお給料をやりくりして、休みを無理矢理もぎ取って、誰とでもなく一人で知らない土地に降りたがるのはなぜなんだろう。

 

そんな疑問が、氷の中のほぼ溶けかかった氷のように浮かんでいる。旅から帰ってきて、こうして記事を書いている今も。

なので今回は、空港から名古屋市内へ向かう電車の中でぼんやり書き殴った文章をここに記して終わろうと思う。

 

********** 

 

f:id:nononakahinonaka:20151004223932j:plain

中部国際空港のレストラン街は、トランジットを待つ観光客などでごった返していた

個人的にお土産屋やレストラン街が充実している空港は、新千歳空港がいちばんだと思う。北海道という広大な土地を存分に活かし、店舗や休憩スペースが広くゆったりと取られているのが嬉しい。北海道の味覚に惹かれて訪れた観光客も、旅の初日から嫌な思いをしなくて済むだろう。

 
中部国際空港のレストラン街は、国際線の出発ロビーを見下ろす形で、4階に広がっている。ひとつひとつの店舗が独立した店のように設計されており、古き商店街や繁華街を表現していた。
ただ、狭い空間に乱立する形で店舗があるため、ごった返す観光客の熱気に呑まれてしまった。入店を待つスペースも狭く、通り抜けようとする客と店先のメニューを見ようとする客で通路が塞がっていた。
 
かくして、並ぶのが苦手な私はそうそうに諦め、名古屋行きの準急に飛び乗った。名古屋市内に着く頃にはお昼時も過ぎているし、割とスムーズに入れるだろうと予想したからだ。
あーあ、矢場とん食べたかった。味仙も出店していたから、台湾ラーメンも食べたかったのに。食のことになると恨めがましい気持ちが表情に出てしまう。海の上を渡る列車に揺られ、空港を睨みつけながら静かに名古屋市内へと向かった。
 
 

f:id:nononakahinonaka:20151004223945j:plain

以前に名古屋を訪れたのは大学生の頃だった。あいちトリエンナーレを見るため、友人3人で苫小牧からフェリーを使って足を運んだ。当時は夏真っ盛りで、歩いているだけで汗が毛穴という毛穴から噴き出してきた。今こうして電車に揺られていると、あの時の暑さは何処へやら、非常に過ごしやすい。
日差しは私を柔らかく包み込み、ほんのり熱気を孕んだ風はまるで5月の北海道のそれと錯覚してしまいそうだ。3日目に南鳥羽に行く予定があるが、少し変更して海岸沿いを散策してもいいかもしれない。志摩まで行くのは厳しいかもしれないが、三重の海を感じたいのだ。
 
社会人になり、旅でのお金の使い方も変わってきた。昔は宿や交通費や食費はとにかく安く抑え、体験するもの、見るもの買うものに時間とお金を注いできた。
今は違う。新千歳空港までの快速エアポートでは指定席に座りたいし、飛行機もLCCは使わずゆったり過ごしたい。宿も安宿は止めて、ある程度お金を払っても市街地から近く、一人でゆっくり休めるところを求めるようになった。
この日、新千歳空港へ向かう途中では指定席が満席のため、自由席で30分立ちながらの移動だった。前日の寝不足、朝食のヨーグルト、元来の水分不足、更に揺れる車内で調子に乗って本を読んだのがいけなかった。恵庭あたりであっさり酔い、空港では口元を押さえながら吐かないように歩く羽目になった。チェックイン後、タラコのおにぎりととうきび茶をかきこみ、安定剤を飲んでようやく楽になった。
ここ数年ですっかり体が弱くなった。休職したのもそう。時間と移動には余裕を持ちたい。旅をしながらも私の身体はそう叫んでいたのだった。
 

********** 

 

次回からどう書いていいものやら。模索します。

ではまた次回!